ゆるみ量が入っているボディは「ドレスフォーム」といわれて、主に既成服の製作、生産に使われます。

1960年代に、日本が衣服の既成服化を推進するためにアメリカの既製服業界で使われていた考え方が取り入れられました。この考え方を日本に最初に持ち込んだのは大野順之介氏です。アミコファッションズの創始者である鯨岡阿美子氏がアメリカの既製服製作で使われているアパレル工業用の人台に目を付け、当時、アメリカの美術大学で教鞭を執っていた大野順之介氏に日本の業界向けに日本人サイズでの導入を依頼しました。

ゆるみ量の入った工業用ボディは、1970年代に化繊メーカーが競い合って自社用のボディを開発しました。

ゆるみ量は、形がよくて着心地の良い服作りをスムーズに進めるために考えられたものです。。パターンナーさんの技量の差が商品に反映されないように誰が作ってもほぼ同じレベルの商品ができるように、ゆるみ量をあらかじめボディのサイズとフォルムに含めておきます。
ゆるみ量はどこにどのくらいの量がついているのですか?というご質問をよくいただきます。

サイズ表にバストサイズ+5cmとゆるみ量が記載してある場合、バストサイズに5㎝のゆるみ量が入っています。

均等にゆるみ量を入れるとしたらまんべんなく8mmくらいの薄皮をかぶせるとバストサイズが約5cm増えます。人間の体でほかの部位よりもゆとりが無いと服を着た時に腕が動かないとか、椅子に座った時にスカートが張り裂けてしまうという要所があります。そこに重点的にゆるみ量を入れます。

もうひとつよくあるご質問に、運動量はどのくらい入っていますか?というのがあります。ボディにはゆるみ量を入れますが、上記でご説明したように、それは多くても10㎜以下の厚みでの作業です。運動量は、それとは別に、平面製図の作業でその型紙で作る衣服の機能に応じて考慮されるものです。