上の写真は、「モデリア・ミリュ・38」のドレスフォームとヌードフォームを並べたものです。

サイズの違いばかりではなく、ボディの面構成、アームホールのかたちの違い、肩傾斜など、違いがあります。

モデリアシリーズのヌードフォームは、既成服製作の用途を主眼において開発されています。ヌードフォームは人のからだの代わりに使われることを目的にしていますが、人のからだの細かな凹凸まで微細に再現はしていません。ヌードフォームは、ゆるみ量が入っていません、ご自分で服と体の間に生じる空間をデザインすることができます。伸縮性のある生地、ニットやストレッチ性のある生地などにはヌードフォームが使いやすいです。

ゆるみ量が入っていなくても、ジャケットや、身体にフィットしたコートなどを作ることも可能なように、ボディの形は、人の体よりもシンプルに面構成されています。身体に密着して着こなすアウターなどの製作にも使えるようにしたのが、モデリア・ヌードフォームの特徴です。

 

spur(シュプール)シリーズは、モデリアシリーズとはフォルムもコンセプトも全く異なるヌードフォームです。

このシリーズは、モデリアよりもさらに人の体に近いフォルムです。モデリアが、しっかりとしたファンデーションで補正したヌードの体型であるのに対して、spur(シュプール)はバスト周りがリラックスしてエレガントな雰囲気です。服と体の間の空間を自由自在にデザインすることができます。また、フィッティングするときに人が実際に着ているように感じられます。伸縮性のある素材の場合は、ボディに沿ってドレーピングするだけで、美しい型紙が出来上がります。ただしヌードボディは、ドレスフォームに比べて人の体に近い分、身体の小さな起伏をボディフォルムに表しています。デザインや服種に応じて、ボディとトワルの間を作り出していくテクニックが必要です。

ドレスフォーム
ドレスフォームは、ヌードフォームに必要なゆるみ量が加えられたものです。ゆるみ量はボディ全体に均等ではありません。また、無造作にただ数値を増やすだけでもありません。ヌードフォームに加えることを許された、多くて8mmくらいの空間で特定の形に形成します。

1970年代に開発したキプリスシリーズのボディはドレス用でバスト5cm、ヒップ3㎝のゆるみ量が入っています。モデリアシリーズのドレスフォームは、バストで3㎝、ヒップで2㎝のゆるみ量が入っています。

身体を美しく見せるための、最低限の空間をデザインしてヌードボディから新たなボディを造型するのがドレスフォームの考え方です。ドレーピングをし易く、作業性を良くします。人の技量の差異で品質の優劣が無いようにするため、またはブランドの顔を定義するための道具でもあります。