若槻せつ子先生と、キイヤのお付き合いは早いものでもう20年以上になります。
KIMONOドレスブランド「ローブ・ド・キモノ」を立ち上げられて独立され、多数の著名人の衣装の制作を手掛けられ、アパレルや、ブライダルのブランドのアドバイザーとしてご活躍されていた時期に、ご自分のデザインで製作されたドレスのディスプレイ用のボディのご用命をいただきました。
ご自分のデザインのドレスを、こういう風にディスプレイしたいというはっきりとしたイメージがおありでしたので、ボディメーカーとしてはご要望に一つ一つ応えていくことでお望みのボディをご提案させていただきました。ドレスの魅力を活かすためにボディをこのようにしてほしい、こういう形にしてほしい、ドレスが映えるために張り生地はこういう生地がよい、というご指示をたくさんいただきました。先生の熱意はいつも多くの人を動かします。同時に、とても素朴で生真面目でお優しい方です。一緒にお仕事をする間、とても素晴らしい言葉や経験をいただきました。
今回も、しばらくぶりにお仕事をいただいたのが、この打掛展示用衣紋掛けの製作です。
打掛を陳列する場合、必ず裾を床面に垂らして飾るのが一般的な打掛の飾り方です。ですが、若槻先生は、絶対に床に垂らしたくないというご希望でした。
それは次のような理由からです。
展示されている打掛は、すべて、ヴィンテージです。佳き日のために職人さんが技術の粋を結集して制作した作品。色、紋様、モチーフ、構図など一幅の絵画と同じ世界観が全体に広がっています。染め、刺繍、織、3つの技巧が駆使された匠の繊細な手仕事を隅から隅まで一目で鑑賞してもらいたい、そういう理由で、通常より、高く掲げられ、絵画のように鑑賞できる、打掛用の衣紋掛けを開発しました。
通常の衣紋掛けでは、打掛の重量に耐えられないので強度を増し、また、絵画のように飾るための工夫を随所に施しました。
この衣紋掛けは5cm上下可動し、最高で約2.2mの高さに掲げることができます。これによって打掛の裾を引きずらないで、一幅の絵画のように展示することが可能です。打掛の衿を美しく見せるために、パイプで衿型(写真)を作りました。最上部の袖を掛ける鉄製パイプの竿部分は、最小1.1mから1.7mまで伸縮しますので左右の袖幅には十分な長さになっています。打掛を内側から支えるために腰部にも竿を通して背後から打掛を支え、美しく広がりを維持するように設計されています。
この展示会専用の仕様は、打掛の裾から鉄のベースが見えないように、支柱とベースの接点は中心より前側に設定しています。
今回、この展示会と同じ様に打掛を展示できる衣紋掛けを販売いたします。ただし、使用するベースは鉄板部分が円形になります。価格や納期等ついてはお問い合わせフォームよりご連絡ください。合わせて、キイヤ製の衣紋掛けも取り扱っています。袖が伸縮いたします。どうぞご検討ください。
若槻せつ子先生の展示会は、6月27日まで下記の通り開催されています。
【 展覧会概要 】
展覧会名:絵を纏う – 若槻せつ子「打掛」コレクション –
会期:2021年6月4日(金)- 6月27日(日) ※会期中無休
開館時間:11:00 – 18:40 ※事前予約制
入場料:無料
会場:ポーラ ミュージアム アネックス( 中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階)
ウェブサイト:https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/exhibition/index.html
予約ページ:https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/information/20200701.html